センターは、「地域研究における情報資源を統合し、相関型地域研究を行うとともに、全国大学その他の研究機関の研究者の共同利用に供すること」(京都大学地域研究統合情報センター規程第2条)を目的として設置されました。
過去だけでなく地域の「現在」を対象とする、地域研究の情報は多様です。書物や統計資料のような印刷物となった文字資料があります。また、地図やポスターなどの印刷された画像資料がある一方で、フィルムや写真、衛星写真などの画像資料、そして音声や音楽を記録した音響資料、さらにはデジタル化された資料などさまざまな資料があります。その多くは、世界の特定の言語で記録されています。また、これらの情報資源は、特定の地域を対象とした研究機関に分散して所蔵されているのが現状です。多種多様な、そして分散して所蔵されている情報を、情報学の手法を用いてより利用しやすいシステムに統合し、多くの研究者、そして地域に関心をもつ多くの人々の間に共有しうるものにすること、それが情報資源の統合と共有化です。
一方、相関型地域研究は、世界の各地が直面している今日的な課題に対して、複数地域を横断する視点から迫ろうとするものです。いうまでもなく、今日の世界の諸地域は、日々、その関係を深めています。21 世紀の「地域」とは、変形し、連動し、影響しあう地域です。その「地域」を理解するためには、比較を通じて各地域の個性をより明確に把握するとともに、「地域」と「地域」がどのように相互にかかわりあい、影響しあいながら世界の一部を構成しているか、という視点が不可欠です。「比較」と「関係性」の二つをキーワードに、すなわち、個別の地域だけでは見えてこない比較研究を試みようとするのが、相関型地域研究です。
これらの研究を進めるには、研究者や研究機関の共同が不可欠です。センターが全国共同利用施設として設置されたのは、こうした研究を推進することが目的として謳われているからです。
上に述べたような設置目的を遂行するために、京都大学は、センターの設置準備委員会において、以下のような設置理念を掲げました。このセンターは、この理念に沿って運営されることになります。