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地域情報学の展開

新規プロジェクト

地域情報学の展開

代表 原 正一郎
研究目的: 地域研究の課題の一つは、変化し連動し影響しあう地域を理解することである。そのためには「比較」を通じて各地域の個性をより明確に把握するとともに、地域と地域がどのように相互に「関係」しあいながら世界の一部を構成しているかという視点が不可欠である。この「比較」と「関係」というキーワードは情報学的手法の展開が期待される場所である。
しかし、情報学は明確なノルムと手続きによりデータを計量的に処理することを目指しているのに対して、地域研究を構成する人文学研究領域では定性的あるいは非数値的な内容を解釈的に処理することが多く,統計処理などに代表されるコンピュータ処理には馴染みにくい。これが相関型地域研究への地域情報学の展開が遅遅として進まない原因の一つであると考えられる。
一方で、人文学史資料であっても時空間属性や主題(人物、事件、事象等)に注目した計量化はある程度可能であり、地域情報学ではその研究を継続している。同時に地域研究においても基本史資料のデジタル化が進んでおり、情報学的分析の素地が整いつつある。
そこで本総括班(以下、総括)では、地域情報学および地域情資源共有に関わる複合研究プロジェクトとの協働により、これまでの成果を駆使しつつ、相関型地域研究への地域情報学から展開の可能性を試みる。
研究意義: 地域研究への情報学の応用を試みる地域情報学において、地域関連情報の計量化手法はきわめて困難な課題である。そのため、場所と時間という計量化の比較的容易な部分に焦点をあてた地域情報学を展開してきた。その成果をうけて、総括では、Myデータベース、REST形式API、共有化メカズム、時空間情報処理ツール、時空間辞書、Topic Maps等の地域研究情報基盤と、フィールドノートやトルキスタン集成等のデータベースを駆使して、どのようにしたら、どこまで、計量的なデータ利用あるいは地域研究が可能であるかを試行する。
●地域・研究領域を越えた地域研究を展開するためには、多種・多量のデータを収集・蓄積・処理する必要があり、コンピュータの利用は必然となる。しかしデータベースを単なる情報検索にしか利用できないとしたら、データベース構築に費やされた多くの時間・予算・労力が有効に活用されていないと言われても反論のしようがない。総括により、データベースを駆使した新しい地域研究の事例を示すことができれば、地域情報学を地域研究の一領域として位置づける試みとして、意義があると考える。。
期待される成果: 地域研究で利用する史資料を対象として、相関型地域研究の二つのキーワードである「比較」と「関係」を情報学のパラダイムとして捉える際の問題点と解決法を探り、地域情報学を地域研究におけるパラダイムの一つとして位置づける。以下の成果が期待される。
・語彙の構造を積極的に取り込んだデータベース構築手法の確立
・地域研究情報基盤の普及と機能拡張
・語彙の関連に注目したデータ検索・処理手法の提案
・地域情報の計量化手法の提案
・各複合研究ユニットにおける研究課題の推進を支援する