2011年度第2回CIAS談話会(7月25日)のお知らせ
下記のとおり、2011年度第2回CIAS談話会を開催します。
オープンな研究会ですので、皆様のご参加をお待ちしております。
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日時:2011年7月25日(月)10:00~12:00
場所:京都大学地域研究統合情報センターセミナー室(稲盛財団記念館2階213号室)
発表者:福島万紀(京都大学東南アジア研究所G-COE研究員/島根県中山間地域研究センター嘱託研究員)
発表タイトル:
山村地域の森林資源の潜在力と、多様な管理のあり方について
要旨:
高度経済成長期に急速に都市への人口集中と山村の過疎化が進行した日本では、
国土の7割を占める山村において「何のための誰の森であるのか」が変化しよう
としている。かつては、「薪炭材を得るための山村住民の森」であり、「現金収
入となる林産物を得るための山村住民の森」であった森林は、水土保全機能や二
酸化炭素固定機能など、「環境のための公共の森」としての役割が強調されはじ
めた。
しかしながら、「環境のための公共の森」は、法律上は個人所有の森である場合
が多く、多くの矛盾を内包している。とくに、「環境のための公共の森」という
枠組みでは、人と森林の相互依存関係の変化により引き起こされたナラ枯れ病、
マツ枯れ病や、針葉樹人工林の荒廃などの課題に対し、その管理がどうあるべき
か?についてのレジティマシー(正統性/正当性)が不明確である。さらに、受
益圏と受苦圏、被害者と加害者の社会構造、社会的ジレンマ論など、人間対人間
社会を対象に構築されてきたこれまでの環境社会学等の理論では、人と自然の相
互関係の問題の構造を分析することが困難である。
地域の社会的状況に応じて様々に役割が変化する森林の共有と管理のあり方、す
なわち「誰がどんな価値をもとに、関わり管理していくか」を問うためには、当
該地域に暮らす住民、近隣都市に暮らす住民、行政、森林組合、素材生産業者な
ど、森林に関わる様々な生活者の視点から上記の課題を問い直し、「地域の森林
が具体的にどのような種組成、林分構造であるべきか?」を提示することが必要
不可欠である。
談話会では、発表者が取り組んでいる、山村地域の森林資源の新たな担い手と管
理のあり方を模索する実践研究の進捗状況を紹介したい。