◆日 時:2013年1月12日(土) 14:00~17:30
1月13日 (日) 10:00~17:00
◆場 所:京都大学稲盛財団記念館3階大会議室
伝統が近代化を阻んでいる――決まり文句のように語られてきた19世紀以来のアジア論、つまりオリエンタリズムに根ざしたアジア的停滞論は、すでに昔日のものになって久しい。むしろ21世紀に入ってからは、アジア諸国こそ世界を牽引する主役であり、経済成長への源だと、かまびすしい議論が脚光を浴びている。
とはいえ、激しい変動は不可避的に不安定な社会を生み出す。慣習や宗教にもとづく秩序は動揺し、人々が認識を共有し、意思を伝達し、合意を作り出す共同体的な土台は急速に妥当性を失いつつある。だが、興味深いことに、人々のニーズに応えるために、国家と社会の間を媒介する多様な主体が登場し、独特な活動を繰り広げてもいる。それは、古めかしい民族や宗教の衣をまとっていることもあれば、普遍的で国際的な価値をかかげていることもある。
今回のシンポジウムでは、そのような視点から、アジア研究に携わる研究者が集まり、21世紀のアジアの国家と社会を問い直す。セッション1では、合法と違法の間で活動する盗賊・マフィア・ならず者・武装勢力、セッション2では、必ずしも民主的な代表ではないが大きな影響力を発揮している組織として中国共産党、人道支援や開発をめぐる国際的な組織、移民のコミュニティに着目する。セッション3では、国家と社会をつなぎ政治を動かすしくみとして民主主義は機能しているのかを、各国の現状分析を踏まえて理論的に考察する。
◆プログラム
1月12日 14:00~17:30
開会の辞:林行夫(京都大学地域研究統合情報センター長)
趣旨説明:竹中 千春(立教大学)・山本 博之(京都大学)
●セッション1 合法と違法の間――盗賊・マフィア・ならず者・武装勢力
司会: 竹中 千春(立教大学)
報告:
1. 今村 祥子(京都大学)「法と暴力―インドネシア・1998年5月暴動-」
2.木村 真希子(立教大学) 「誰が暴動を起こすのか?―農民の反乱からならず者の政治へ」
3.小倉 清子(トリブヴァン大学)「ネパール・マオイスト―武装勢力から議会政党に転換するプロセスにおける青年組織の展開」
4.佐藤 考一(桜美林大学)「海賊と国家権力―東南アジアの事例」
討論: 西 芳実(京都大学)
1月13日 10:00~17:00
●セッション2 市民的なるものと非市民的なるものとの相克――中国共産党・人道支援団体・ムラと開発と移民
司会: 清水 展(京都大学)
報告:
1. 国分 良成(防衛大学校)「中国における党国体制の強化と社会的現実」
2.長 有紀枝(立教大学) 「人道支援再考―東日本大震災を経験した国際協力NGOの視点から」
3.勝間 靖(早稲田大学) 「ASEANを中心としたアジアにおける人権をめぐる動き」
4.田村 慶子(北九州市立大学) 「権威主義体制下のNGO活動―シンガポール」
討論: 山本 博之(京都大学)
●セッション3: 民主主義の「賞味期限」?――国家・政党・選挙 (14:00~16:30)
司会: 藤原 帰一(東京大学)
報告:
1. 中溝 和弥(京都大学)「選挙と農村社会―インド・ビハール州の事例」
2.磯崎 典世(学習院大学)「希望か幻想か、ネット社会の政党と選挙:2012年韓国大統領選挙を中心に」
3.倉田 徹(金沢大学)「香港の政党:国家と社会の狭間での苦闘」
討論:金子 芳樹(独協大学)
●総合討論 (16:30~17:00)
司会: 竹中 千春(立教大学)
◆参加費 :無料、要事前申込み
◆申込方法 :ご参加を希望される方の氏名、ご所属、電話/FAX、e-mailアドレスを明記の上、e-mailまたはFAXで、下記事務局までお送りください。
【お問い合わせ】
立教大学法学部竹中研究室気付 シンポジウム「アジアの市民社会と国家の間」事務局
E-Mail : asiacitizenrikkyo@gmail.com FAX: 03-3985-2933
主催:科研費・基盤(A)「広域アジアの市民社会構築とその国際政治的課題」(代表:竹中千春)
京都大学地域研究統合情報センター
◆ポスター: