2013年11月8日から9日、フィリピン中部を台風30号(フィリピン名ヨランダ)が襲いました。この台風による死者は4000人を越え、倒壊家屋は約65万棟、被災者は約1000万人に上ると伝えられています。
被害は広範囲におよび、その全体像がなかなか掴めない中で、貧困や物資の略奪といった側面に関心が集中してフィリピン社会に対するネガティブな見方が不当に強められているという声が聞かれる一方、この災害対応のあり方にフィリピン社会が抱える課題が集約されているという声も聞かれます。
地域研究を志す学徒として、あるいは隣人として、被災地域の人びとに何らかの救援をと思わざるをえません。ただし、被災直後の現場に身を置くことによってではなく、緊急対応から復興再建への移行を念頭に置いて、専門性を活かした関わり方として、研究集会を開催することにしました。研究会では、防災・人道支援の専門家による被災と救援の現場からの報告、支援や関心によって被災地の内と外をつなぐ試み、歴史や文化を踏まえた被災地や被災社会の捉え直しなどを通じて、今回の台風災害とそれへの対応に見られるフィリピン社会の特徴を明らかにし、地域社会に根ざした支援や復興の可能性を提案することを目指します。
入場無料、事前登録不要で、関心のある方ならどなたでもご来聴いただけます。みなさんのお越しをお待ちしています。
●日時 2013年12月4日(水) 午後1時~午後6時
●会場 京都大学稲盛財団記念館大会議室
アクセス:アクセスマップ
●プログラム
趣旨説明
山本博之(京都大学地域研究統合情報センター)
第1セッション
「フィリピン台風災害緊急人道支援活動報告」
奥村真知子(ピースウィンズ・ジャパン フィリピン台風支援事業担当)
「フィリピン台風災害-災害と復興の視点」
渡辺正幸(東京大学生産技術研究所目黒研究室研究員)
第2セッション
「フィリピンの台風被災を遠くから見る-備えるとは何か、届けるとは何か」
青山和佳(北海道大学大学院メディア・コミュニケーション研究院)
「サマール島の政治社会状況-被災地支援の際に思うこと」
細田尚美(香川大学インターナショナルオフィス)
「フィリピン台風災害への対応-在日フィリピン人コミュニティの視点から」
石原バージ(フィリピン人移住者センター(FMC))
第3セッション
「レイテ島の歴史から見た政治風土」
荒哲(福島大学非常勤講師)
「災害復興に向けてフィリピン社会を振り返る」
宮脇聡史(大阪大学)
コメント
寺田勇文(上智大学アジア文化研究所)
清水展(京都大学東南アジア研究所)
総合討論
●主催
・東南アジア学会
・地域研究コンソーシアム
・京都大学地域研究統合情報センター
●共催
・京都大学東南アジア研究所
・科研費プロジェクト「災害対応の地域研究の創出-「防災スマトラ・モデル」の構築とその実践的活用」(代表:山本博之)
・科研費プロジェクト「自然災害からの創造的な復興の支援を目指す統合的な民族誌的研究」(代表:清水展)
・京都大学地域研究統合情報センター共同研究「「小さな災害」アプローチによる紛争・災害に強い社会づくり」(代表:西芳実)
●問い合わせ先
山本博之(メールyama[a]cias.kyoto-u.ac.jp/電話075-753-9616)