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2011/12/25 地域研究統合情報センターが国際シンポジウム「災害遺産と創造的復興――地域情報学の知見を活用して」を開催しました。(2011年12月21~25日)

地域研究統合情報センターは、JST-JICA地球規模課題国際科学技術協力事業「インドネシアにおける地震火山の総合防災策」およびシアクアラ大学津波防災研究センター(TDMRC)との共催により、インドネシア・アチェ州バンダアチェ市において国際シンポジウム「災害遺産と創造復興――地域情報学の知見を活用して」を開催しました。

本シンポジウムは、センターが開発・公開した「災害と社会 情報マッピングシステム」をインドネシア側カウンターパートであるTDMRCに技術移転するとともに、インドネシアの関係政府部門や新聞社との連携により、同システムのツーリズムや治安向上などへの応用を検討することを目的としたものです。

インドネシアは、死者・行方不明者が16万5000人に上る2004年のインド洋津波をはじめ、2006年の中部ジャワ地震、2009年の西スマトラ地震といった大規模な自然災害に襲われてきました。被災と復興の経験を踏まえて、インドネシアでは災害対応研究の進展が著しく、とりわけ、インド洋津波の最大の被災地となったアチェ州では、TDMRCを中心に、インドネシア国内に二校しかない大学院防災学研究科とともに、国内の災害対応研究の拠点となるだけでなく、アジア・アフリカ地域の災害対応研究の拠点となることをめざしています。

アチェ州知事、アチェ州議会予算委員長、シアクアラ大学学長、地域研究統合情報センター長の挨拶を受けて開会された本シンポジウムは、アチェ州政府(開発局、観光局、教育局、統計局)、大学(津波防災研究センター、大学院防災学研究科)、図書館・資料館・博物館、メディア、小中学校教員をそれぞれ対象として5日間にわたって開催され、連日100人以上が参加しました。報告者は日本側・インドネシア側あわせて延べ44人に上り、地域情報学を活用した創造的な災害復興について研究成果を発表しました。

本シンポジウムでは、地域研究者が通訳を行って日本語とインドネシア語で行いました。インドネシアの社会に通じた地域研究者がモデレーターとなり、インドネシアの実情に即した補足説明を加えることで、インドネシア側参加者が自分たちの生活に即して災害対応研究の成果を理解することを助け、社会の幅広い層からの参加者を交えて活発かつ率直な意見交換が行われました。

シンポジウムでは、インドネシア側参加者から、研究成果が具体的な社会の問題への取り組みにどのように結びつくのか、日本とインドネシアの共同研究を継続するためにどのような仕組みや工夫がありうるかという問題提起がなされました。

社会問題への取り組みに関しては、「災害と社会 情報マッピングシステム」を用いて日常的な災害や事件・事故をモニターするというシステムの利用法がインドネシア側参加者から提案され、今後共同で開発を進めることになりました。また、研究協力の継続については、地域研究統合情報センターとTDMRCが研究・教育上の連携に関する合意を結び、「災害対応の地域研究」と「災害地域情報学」の2つの分野で研究・教育及び社会連携を進めていくこととなりました。

このシンポジウムの内容はインドネシア社会の関心を集め、地元紙『ハリアン・アチェ』と『スランビ・インドネシア』や在インドネシア邦人向け日刊紙『じゃかるた新聞』で報じられたほか、地元ラジオ放送局の防災番組に林行夫センター長らがゲストとして招かれ、地域研究統合情報センターの活動ならびにシンポジウムについて紹介しました。

「災害対応の地域研究」プロジェクト

写真1 シンポジウム一日目の報告者たち(2011年12月21日)
シンポジウムはアチェ州知事、アチェ州議会予算委員長、シアクアラ大学学長らの挨拶により開会された。
写真2 シンポジウム会場風景(2011年12月23日)
アチェ州政府、大学、図書館、メディア等から多数が参加し、活発な意見交換が行われた。
写真3 地元ラジオ局の防災番組に出演する林行夫センター長(2011年12月22日)