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2014/04/01 地域研叢書サブシリーズ「災害対応の地域研究」(京都大学学術出版会)の刊行開始

京都大学地域研究統合情報センターでは、地域研究、防災、人道支援、情報学などの分野の異なる専門家が共同で研究を行う「災害対応の地域研究」プロジェクトを進めてきました。これらの研究の成果を踏まえて、このたび京都大学学術出版会より「災害対応の地域研究」シリーズ(全5巻)の刊行が開始されました。

災害は、平常時から切り離された特別な時間・空間ではなく、その社会が平常時に抱える潜在的な課題が極端な形であらわれている状態です。したがって、災害からの復興とは、被災前の状態に戻すことではなく、被災を契機に明らかになった社会の課題に働きかけ、よりよい社会をつくることです。そのような創造的復興を可能にするためには、災害による被害を物理的に抑え込みさえすればよいと考えるのではなく、災害が発生したときに社会が柔軟に対応するという社会の強靭性を高めることが大切です。また、被災社会が被災前にどのような状況にあり、どのような課題を抱えていたかを知る必要があります。「災害対応の地域研究」の意義はここにあります。

自然災害が起こると国境を越えて人道支援を行うことが一般的となった今日、災害対応の現場では地域の事情に根差した防災や復興が求められており、地域研究の知見はますます重要となっています。「災害対応の地域研究」シリーズでは、災害対応の現場での防災・人道支援の実務者との連携や、近年進展が著しい情報技術の利用などにより、異業種・異分野の専門家に開かれた「地域の知」をめざします。ご期待ください。

第1巻(Sの巻) 山本博之著『復興の文化空間学―ビッグデータと人道支援の時代』

第2巻(Tの巻) 西芳実著『災害復興で内戦を乗り越える―スマトラ島沖地震・津波とアチェ紛争』

「災害対応の地域研究」プロジェクト