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自然科学者による地域研究方法論の構築(h21)

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自然科学者による地域研究方法論の構築(h21)

地域研萌芽研究
代表: 柳澤雅之(京都大学地域研究統合情報センター・准教授)
共同研究員: 井上真(東京大学・大学院農学生命科学研究科農学国際専攻・国際森林環境学研究室・教授)、梅崎昌裕(東京大学大学院医学系研究科・准教授)、甲山治(京都大学東南アジア研究所・准教授)、竹田晋也(京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科・准教授)、富田晋介(東京大学大学院農学生命科学研究科・助教)、長野宇規(神戸大学大学院農学研究科・准教授)、星川圭介(京都大学地域研究統合情報センター・助教)、山口哲由(京都大学地域研究統合情報センター・学振特別研究員)、山越言(京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科・准教授)
期間: 平成21年6月1日~平成22年3月15日
目的:  地域研究方法論についてはさまざまな立場がありうる。しかし、データの収集・分析から成果の公開までのプロセスに焦点を当てた場合、ある意味空間としての特定地域に起きる事象を取り上げ、その歴史的経緯を重視しつつ、現在あるいは将来にわたって起きる問題点を取り出して研究するという手法においては、どの地域研究者にもおおむね共通しているといえよう。複合共同研究ユニット「方法としての地域研究」は、そのような手法を個々の研究者の「名人芸」として済ませるのではなく、対象地域や分野の違いを超えて共有・利用を可能とするための基礎的な調査を行うことを目的としている。本個別共同研究ユニットでは、複合共同研究「方法としての地域研究」の一環として、特に自然科学系のバックグラウンドを持つ研究者による地域研究の方法論について考察することを目的とする。
研究の意義:  自然科学者による地域研究の蓄積はとりわけ日本で独自の発展を遂げてきた。とくに、農学や林学、生態学をベースにした地域研究関連分野の蓄積は厚く、地域における人と自然の関係についての研究から、より壮大な文明論・文化論にまでおよぶ。本研究では、研究対象とする地域や分野を横断する形で、我が国の自然科学系出身の第一線の地域研究者がこれまで独自に展開してきた地域研究の方法論を持ち寄り、その共通点と差異を議論するなかで、言語として継承可能な形で地域研究方法論を構築することを試みる。これまで地域や専門分野、研究者ごとに異なった方法論を、地域研究を志す者がトレーニングに利用可能な形で提示することにより、地域研究者数の増加や研究レベルの質的向上に加えて、自然科学をベースにした地域研究の特徴を明らかにすることで、複合共同研究の課題でもある、地域研究全体の理解を深めることに大きな意義がある。
期待される成果
将来の展開
について:
 自然科学者によるさまざまな地域研究を持ち寄ることで、第一に、地域研究の特徴を、自然科学の側面から検証することができる。厳密な客観性と再現性が求められる自然科学の手法を用いて、いかに、地域ごとの個別性を重視し事象の再現性がきわめて少ない特定地域の地域研究を遂行することができるのかという課題を考察することは、研究の普遍性と地域の個別性の橋渡しが重要である地域研究にとってきわめて重要なトピックである。また本研究の第二の成果として、地域研究を学ぶ大学院生や若手研究者の研究上・指導上の指針とすることができ、これまで指導側の個人的経験に依存していた地域研究教育を、より普遍的に行い、地域研究全体の底上げを進めることが可能になる。2009年度の萌芽研究として申請するが、複合共同研究ユニット「方法としての地域研究」と連動し、2010年度にはその個別共同研究ユニットとして再編成することで、人文社会系の地域研究方法論と融合させた地域研究方法論を展開することができる。
研究実施計画:  以下の5回の研究会を実施する。開催場所は第2回を東京で開催するほかはすべて京都で開催。カッコ内は発表・討論参加者。
 第1回:研究会の趣旨説明・年度計画の策定・課題設定(柳澤、星川)
 第2回:森林利用関連分野の地域研究方法論(井上、竹田)
 第3回:土地利用関連分野の地域研究方法論(長野、富田、甲山、梅崎)
 第4回:動植物との共生研究関連分野の地域研究方法論(重田、山越、山口)
 第5回:複合共同研究ユニットの共催を含めた人文社会科学分野の地域研究との合同研究会、今年度研究会の総括、次年度の計画
研究成果の
公開計画:
 2010年度後半以降のJCAS『地域研究』誌にて論文発表の予定。
関連
プロジェクト:
 CIAS複合共同研究『地域研究方法論』(代表:山本博之、CIAS准教授)