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土地権・環境・暴力―インドネシアにおけるアブラヤシ開発に伴う諸問題(h21)

過去の研究プロジェクト

土地権・環境・暴力―インドネシアにおけるアブラヤシ開発に伴う諸問題(h21)

個別共同研究ユニット
代表: 中島成久(法政大学国際文化学部・教授)
共同研究員: 阿部健一(総合地球環境学研究所・教授)、安部竜一郎(立教大学経済学部・兼任講師)、岡本幸江(通訳・翻訳業)、永田淳嗣(東京大学・大学院総合文化研究科・准教授)、松野明久(大阪大学国際公共政策研究科・教授)、吉村真子(法政大学社会学部・教授)
期間: 平成21年4月~平成22年3月
目的:  この研究は、今や世界最大のパームオイル生産国になったインドネシアのアブラヤシ開発に伴う諸問題を、土地権、環境、国家暴力という側面から検討することを目指す。そのために、アブラヤシ開発関連研究者を日本に招聘して、日本側研究者及び一般参加者とともに国際会議を開き、今後さらに大型の共同研究へとつながる準備を行うことを目的としている。
研究実施状況:  本年度の企画は、2007年から二年間実施した「アジア太平洋におけるリージョナリズムとアイデンティティ研究」プロジェクトの主要なテーマを、より掘り下げるために一年間と実施した。2009年11月29日に、研究課題をタイトルとした国際ワークショップを法政大学にて開催した。講師は、ジョン・マッカーシー氏(ANU講師)とウタミ・デウィ氏(インドネシア共和国社会省企画局)の二名で、柳澤雅之氏(CIAS)にコメンテーターをお願いした。
研究成果の概要:  連邦制や国内の地域主義などを出発点として研究が進められた「リージョナリズムの歴史制度論的比較」の研究からは、国家に対抗し抵抗する「地域」ではなく、「地域」と国家の「共生」が生じていることが明らかとなった。また、「民主化」や体制転換を切り口とした「『民主化』と体制転換の比較研究」からは、新自由主義により拡大した格差や貧困に喘ぐ弱い立場の人々に基盤を置く勢力が、その地位向上のために国家に対し積極的な役割を求めていることが確認された(ただし、どの程度までの役割かについては論争が続いている)。「自然生態資源利用における地域コミュニティ・制度・国際社会」の研究からは、地域コミュニティと国際社会の役割の重要性が指摘され、国家の比重は低下しているように捉えられるものの、地域コミュニティ自体が国家とは関係なしに存続していけるのか、さらに検証を重ねる必要があると考える。
公表実績: 中島成久編、『インドネシアにおける土地権と紛争』CIASディスカッションペーパー15号、2010年3月、161ページ
中島成久編、『シンボルとしての土地――アジア太平洋におけるリージョナリズムとアイデンティティ』、「アジア太平洋におけるリージョナリズムとアイデンティティ」研究会発行、2010年3月、97ページ
研究成果公表計画
今後の展開等:
本研究会においてもっとも中心的なテーマは、インドネシアにおけるアブラヤシ開発にともなう諸問題であった。そうした問題についてさらに研究を進めるために、科学研究費などの競争的資金を獲得し、日本の研究者とインドネシア/オーストラリア研究者とのコラボレーションを図れるような研究体制の構築を目指したい。